リストカットと自殺について-カウンセリング/神奈川県川崎市/ピース・アンド・ホープ カウンセリングセンター
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第23回 リストカットと自殺について
対処療法としてのリストカット
自傷行為の代表的な行為に、リストカットがあります。「死にたい人はさっさと死ぬからリストカットしている間は安全だし、ただの死にたいアピール」と考え、リストカットと自殺は関係がないと思ってらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はその考えは不適切です。リストカットの多くは、ただの注目引きやアピールではなく、本人なりの必死の不快感情への対処方法なのです。実際、身体を傷つけることで脳内麻薬物質が分泌され、それによって無感覚・麻痺状態になり、不快感情が一時的に和らぐことがわかっています。そのような慢性的な不快感情は「自殺」を連想させるに充分な理由になってきてしまいます。つまり、自分の体を傷つけずにはいられないくらい、つらい不快な感情で常に心がいっぱいなのです。
自殺を思いとどまらせるためにできること
では、どうすれば自殺を思いとどまらせることができるのでしょうか。1つは「自殺の話はタブー」という考えを捨ててしまうことです。確かに「自殺」という文字を見るだけでギョッとしてしまうほど、「自殺」は強烈な印象を我々に与えます。しかし、ある意味リストカットで済んでいる状態のうちに自殺の問題について話し合っておかないと、取り返しのつかないことになり得ます。リストカットは「自殺潜在能力」という自殺することに対する恐怖心への耐性を高めるという効果もあるからです。リストカットを繰り返すと、自殺に伴うであろう痛みや苦痛に慣れていってしまうのです。従って、リストカット以外に不快感情を取り除く方法を見つける必要があるのですが、その一つが「人に話を聴いてもらう」なのです。
相手の辛さに共感して話を聴く
話を聴く側には特別な話の聴き方が求められます。「死にたい」という訴えは文字通りの「死にたい」ではなく、「死にたいくらい辛い」であり、「本当は生きたい」なのです。「親からもらった身体を傷つけるなんていけないことだ」「死ぬなんてもってのほかだ」と自分の不安を相手にぶつけたり、「自分も色々あったから君の言うことはたいしたことじゃない」というような話の聴き方をしてしまうと、自殺を考えているものにとっては自分を否定され多様に感じられ、ますます不快感情が高まってしまいますので、そういった聴き方はしないように注意が必要です。相手の立場に立ち、相手の辛さを共感する姿勢が求められます。
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