ASD/PTSDについて-カウンセリング/神奈川県川崎市/ピース・アンド・ホープ カウンセリングセンター




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              第2回   PTSD・ASDについて

 
    第2回となる今回は、大震災により注目を浴びるようになったASD・PTSDについて取り上げます。



トラウマ(心的な外傷)とは
 
 一般的に心身の不快をもたらす要因をストレスと呼びます。強い恐怖や無力感やなどを伴うような事故、殺傷犯罪、戦争被害、性犯罪、災害などといった生命の危機にさらされる出来事を直接・間接的に体験した場合に、それが過ぎ去った後にも体験が記憶の中に残り、精神的な苦痛を与え続けることがあります。このようにしてもたされた精神的な後遺症をトラウマ(心外的な外傷)と呼びます。このトラウマによって、抑うつ、罪責、怒り、無力、非哀歓などの感情が慢性化してしまったり、世の中に対する基本的な信頼感が失われてしまって対人関係において孤立化するなど、様々な心理的反応の一つとして、PTSD症状と呼ばれるものがあります。


PTSD症状と診断

 PTSD症状の程度や苦痛の度合いは、人によって違いますが、まとめると次のようなものです。まず、トラウマ体験が本人の意思とは関係なく気持ちの中に「侵入」し、そのときと同じ気持ちがよみがえってきます。それに伴って、トラウマ体験だけでなく、あらゆる物音や刺激に対して気持ちが張り詰めてしまい、不安で落ち着くことができず、苛立ちやすく、眠りにくくなるなどの過覚醒状態となります。さらにあたかもトラウマ体験が意識から切り離されたようになり、体験の記憶や実感が乏しくなります。また、周囲の人々や自分の未来からも切り離されたように感じ、人々の自然な交際や将来の計画などができなくなるといった麻痺状態も生じます。   

 現在の精神科診断基準では、トラウマになった出来事を体験してからこのようなPTSD症状が一か月以上持続する場合に外傷的ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder :PTSD)、一か月未満である場合には、急性ストレス障害
(Acute Stress Disorder :ASD)として区別されます。ただし、PTSDなどのトラウマ反応は、決して異常な体験ではなく、極度の危機に巻き込まれれば誰にでも生じる反応であるとの認識がされつつあります。また、そのような体験の直後には一過性の正常反応として、不眠や不安が生じることが多いことが知られ、必ずしもASDやPTSDとは結び付かないことも知られています。


ASD・PTSDの治療

 ASDとPTSDの治療は、心理療法と薬物療法がおこなわれることが一般的です。ここではよく行われているものを中心に取り上げます。


 心理療法においては、まずPTSDとはどういうものなのか、どのような対処法があり、予後はどうなる可能性があるのかをご本人にお伝えします。これを心理教育と言います。この心理教育の後、以下のような心理療法が行われます。        


認知行動療法  外傷体験によって歪曲してしまった現実的ではない考えに注目し修正することで、そこから生じる不安や抑うつ感の軽減を目指します。


暴露療法  実際に外傷場面を再現し、その場面への接触を繰り返しながら、生じる不安等を軽減させていく方法です。暴露療法は不安場面に向かうための準備を行ったうえで行われます。


力動的精神療法  不安の軽減や勇気づけ、現実的な状況の検討を通して、自分を自分として受け入れられる力や適応能力の補助を目指す「支援的アプローチ」と、普段は意識していない部分(無意識)を取り上げたり、その意味について話し合うことでトラウマとなった体験に影響を与えた可能性のあるトラウマ体験以前の種々の問題について自覚や洞察を促す「洞察的アプローチ」が行われています。

 また、薬物療法は、現時点で特効薬はなく、PTSDによる外傷体験の再体験や回避/麻痺、過覚醒症状の緩和や軽減を目的とし行われるのが一般的です。そして、症状による苦痛を緩和・軽減していくことで、回復力を強め、機能を修復していくことを目指します。薬には様々な種類があり、一種類だけでよい場合もあれば複数の薬を飲む必要が生じる場合があり、これは症状により対応は様々になります。

 ASD・PTSDは席にも述べたように、人によって症状や苦痛の度合いは異なります。その為、治療の方法も様々な方法が取られ、上記で挙げたものいくつか並行して行っていくこともあります。治療に関しては専門的な判断が必要となるので、ご自身の状態が気になった際にはまず専門機関への来談をお勧めいたします。
  


 

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