睡眠のはなし-カウンセリング/神奈川県川崎市/ピース・アンド・ホープ カウンセリングセンター




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            第31回   睡眠のはなし

 
  



睡眠のはなし

 先日あるニュースで、経済協力開発機構(OECD)の格国における国民の平均睡眠時間を比較すると、日本の数値は最下位になるというデータが紹介されていました。また別の調査では、日本人の約2割~3割が不眠を抱えているというものもあるようです。もちろん、週に2、3日なんとなく寝つきが悪いように感じる日があるのはごく自然のことですので、それに関して過度に心配される必要はありません。医療や心理学の世界では、「不安」は不眠を招いたり悪化させたりする大きな要因として知られていますので、あまり気にしすぎるのはかえって睡眠には良くないでしょう。例えばストレスがかかるとほとんどの人は一時的に眠れなくなりますし、「今日は○○時には寝ないといけないのに」など不安を感じていると不眠が慢性化しやすくなります。それでも、このような環境調査を見ると、睡眠に関してどこかしら上手くいかないと感じている方も少なくないのではないかと推察します。近年は、カウンセリングの世界でも、認知行動療法などを生かした不眠症へのアプローチの中から、睡眠についての知見をいくつかご紹介しようと思います。
 まずは適切な時間に強い光を目から取り入れて脳を刺激することで、体内リズム(概日リズム)を整える方法があります。若い方の不眠は昼夜逆転の形を取りやすいので、朝6時~7時頃に1時間程光を浴びることで、体内リズムを早めることができると考えられます。中高年以降の方は、体内リズムが前倒しになって早朝目が覚めてしまう形を取りやすいので、夕方6時~8時頃に1時間程光を浴びていただくと、リズムを後ろに戻すことができるようです。いずれの場合も、1週間~10日間ほど続けていただく必要があります。
 また睡眠は、体温リズムとも深く関係しています。皮膚の温度が上昇し、身体の中心部が下がってくると、眠りやすい状態になります。ですので、眠る3時間くらい前に30分ほど軽い運動をして体温を上げておくと、そのあとの体温低下にともなって眠りやすくなると考えられます。冷え性の方は、皮膚表面の温度を上げるように心がけられると、体内の温度を下げることに繋がってよいようです。
 不安や緊張を解く方法には筋弛緩法という身体へのアプローチもあります。これは、自分で腕、脚、肩といった様々な部位に一度わざと力を入れ、それからスッと力を抜いて、身体が緩んでいく感覚を掴むという方法です。身体、、精神、双方に効果があると言われています。
 以上3点ご紹介しましたが、他にも様々な方法があります。また、それぞれの悩み、気になる部位はその方にとって異なっていると思います。まずはご自身の睡眠の状態について詳しく把握することが大切です。その上で、睡眠にとって良くない環境、習慣、考え方がないか見直し、1つずつ検討していくことが重要になります。

参考文献 岡島義・井上雄一『認知行動療法で改善する不眠症』すばる舎


 



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